マイコンでSDカード使うときは必ずプルアップしてね☆

なぜなら！
SDAの規格で！絶対に必要と！明記されてますから！！




SPI互換モードでは使用しないDAT1,DAT2も放置せず絶対に
プルアップしてください！これもちゃんと明記されています！!


ちなみに"SHALL"の解釈をめぐって英語教室繰り広げる奴対策の
ためにSDAは用意周到できっちりそういう連中の逃げ道塞いでいます…！
"SHALL"は欠くことができない絶対に必要な事柄と定義されています！

そんなわけでマイコンでSDカードを使う際はCLKを除くCMDとDAT0~3は
ネイティブモード・SPIモード関係なく必ず外付け抵抗で
プルアップしましょう〜！
マイコンの内蔵プルアップ機能でごまかすの絶対にダメですよぅ！
MMC/eMMCの場合はCMD&DAT0~7ね

過去の記事になりますがSTM32F4でSDカードを使う際に安定して動作
できるまでのノウハウを記載しております…ご参考に！

また、NexperiaのAN10911はSDカードとその前身のMMC、そしてeMMCの
ハードウエア設計についての情報が満載です！こちらも必ず目を通して
おいてください！




というわけでずっと議論が続いてきたSDカードにプルアップの件は
明確すぎる根拠がどっかからリークされてきたSimplifiedじゃない
ほうのSpecificationで判明しました。まじかよフリースケール最悪ですね
これで完☆全☆決☆着です…！
以上！！終わり！！閉廷！！皆解散！！

(やけくそ)


















以下自分が納得するために調べた補足情報と想定される漫才問答です。
●なぜ信号線にプルアップしないといけないのか？
➡バスフローティング(入力開放)状態防止の為です。
　一般にCMOSプロセスのロジックICは入力を開放(=ハイインピーダンス=Hi-z)
　状態で放置すると外乱の影響を極めて強く受け、VCC/2の中間電位が印可
　される状態も簡単に起こりえます。

　中間電位が印可された場合、入力バッファを構成するPMOSとNMOSの両方とも
　ONになる危険な状況が発生しシュートスルー電流が流れてしまいます。
　その結果デバイスを恒久的に破壊する可能性があります。

　破壊まで進まなくても意図しない異常な動作状態がランダムに発生します。
　一般的にいうと動いたり動かなかったりする状態です。
　この動いたり動かなかったりするというのが実に厄介なのです。

　
　仕様にもプルアップが必須なことを示唆する図があります。
　御覧のとおりSDカードの内部バッファには一般的なCMOS入力の構成に
　なっているため、プルアップしないと中間電位が印可される可能性が
　あります。

　
　その前身マルチメディアカードはほぼ同じ感じです。
　CMDはSDカードと違いオープンドレイン出力可能な構造になっています。

　てわけでCMD,DATの論理レベルを"弱く"HIに固定化(プルアップ)することにより
　Hi-Z状態を防止します。これはSDカード側だけでなくマイコン側入力にも
　同じセオリーが言えるので、プルアップは必ず必要ということになります。


●なぜプルアップなのか？プルダウンではダメなのか？
➡SDカードとその前身となったマルチメディアカードの仕様です。
　後でも述べますがSPIデバイス＝プルアップではないです。
　SDカード/MMC/eMMCにおいてはプルアップと心得ときましょう。

　仕様には明確な記述がないのですが、仕様で書かれている事柄を集約
　すると、ネイティブモード/SPIモードに限らず論理HIレベルがCMD/DATの
　無通信時のデータ線のアイドリング状態であることを示唆しています。

　特に電源投入シーケンスではCMD/DATの論理HIに固定して保つのは
　仕様上必須と記載されています。これはMMCから続く仕様です。
　
　というわけでプルアップが必ず必要ということになります。

●で、プルアップに何kohmの抵抗使えばいいの？
➡ねむいさんは22kohmの面実装抵抗使ってます
　
　
　私の根拠としてSDカードとMMCそしてeMMCのすべての仕様を満たせる範囲
　かつMMC/eMMCのオープンドレインモードの動作もカバーできるように
　配慮しています。
　カードとホストが1対1で繋げることを想定し、
　CLK=400kHz, CL=20pF(STM32の最大), Rpu=22kohmであるときのL->Hの
　立ち上がり時間は約1.01uSecとなりこの立ち上がり時間はCLK=400KHz
　時の1/2周期である1.25uSecの範囲内を満たします。
　以上の結果から22kohmの正当性が証明されることになります。

　なおかつねむいさんは手持ちとして22kohmの面実装抵抗を大量にストック
　しているのでSD/MMC/eMMCのプルアップとして最終的に22kohmを選びました。
　JTAGKey2Compatibleの回路でも22kohmでプルアップしてます。

　SDカード限定で使用するなら10kohm~33kohmで選べばまず問題はないで
　しょう。それ以上の高抵抗は正直選択するべきではないです。
　仕様上100kohmだからと言って端っこの100kohmとか使うとノイズを
　極端に拾いやすくなり、動いたり動かなかったりする厄介な不良になるので
　そういう実装はなるべく避けてください。

　まずは確実に安定して動作する状態・動作パターンを構築する！
　それぞれの環境・用途への最適化はそれから！


●ところでCLKはどうすればいいのか？プルアップ？プルダウン？
➡それよりも先ず信号の終端が必須です。
　SDカードのクロックはカードから見て入力専用、マイコン側からみて
　出力専用になるのでちょっと扱いが違います。過去の記事でも記述
　していますがCLKは特にプルアップしてません、仕様上もCLKに
　ついては具体的な指示は一切無いです。

　理由は（ホストの)電源立ち上がり後にCLKに相当するピンは常時
　出力固定もしくは"直ちに"出力に切り替わることを想定してるからです。

　一方高速信号の伝送路としてみた場合、信号の品質保持、いわゆる
　シグナル・インテグリティの概念が避けられません。
　CLKについては論理レベル固定よりも前にこの対応が最優先で必須になります。
　これはSDカード側だけではなくホスト(マイコン)側の仕様と基板パタンの
　設計まで含めて理解し、じっっっくり取り組まないといけません。

　
　STM32のSDMMCの回路設計リファレンスAN4488の例をとると…
　"Trace the impedance : 50ohm±10%"に注目です。
　これ単にテスターで測った抵抗値を50ohmにしろって意味じゃなくて
　回路の特性インピーダンスを50ohm近傍に合わせろという意味です。
　この措置をインピーダンス・マッチング(整合)といいます。

　大前提として基板のパターン設計の時点でインピーダンス整合を考慮
　するべきですが、外付け部品で終端回路を構成してさらに細かい調整を
　行えるようにする措置を行うのが通常の設計で常だと思います。

　FPGA屋さんならこんなの私が言わずとも既にご存じの今やこれは常識レベルのことだと
　 思います…が、なんでかマイコンだけしか経験が…とかフィジカルコンピューティング
　 しか経験がない人との"常識"が異常なレベルで乖離してて結局毎回こうやっt
　すみません脱線しました。

　
　STM32のSDMMC/SDIOの回路例です。
　ねむいさんはSDMMCのCLKの終端として直列終端(ソース終端)を実施
　しています。これはCLKの出力側近傍に抵抗を直列に配置することに
　よってインピーダンスの整合を図るやり方です。
　抵抗一個でできる簡単さでなおかつ結構な効果があります。

　もちろん単にCLKに直列に抵抗入れば良いというわけではなく、
　出力端つまりマイコン側の最近傍に抵抗を必ず配置する必要が
　あります。理想的にはマイコンのSDMMC_CLKピンの真近くです。
　これを守らないと効果が無いばかりか最悪逆効果となります。

　
　
　
　↑STM32F407で実施した例。ね？簡単でしょ？
　 この基板上ではオシロ見ながら調整して47ohmとしました。
　 STM32H5/STM32L5とかは33ohmにしてます。(いずれも最大周波数50MHz想定)。

　この抵抗値はこれだといったものは存在せず、オシロスコープの波形と
　実際のデータの整合性を観ながら0~47ohmの間で調整する必要があります。
　それで調整できない場合は根本的になんか変なので基板のパターン設計
　からやり直しです。

　本当はCLKだけではなくCMD,DATにもすべて適用すべきですが一番激しく
　動くのがCLKなので回路面積的に余裕が無い場合でもせめてCLKだけは
　このような"調整代(しろ)"を入れてください。



　そして長々と終端について書きましたがCLKが出力に"直ちに"切り替わら
　ないケースの場合について、中間電位がカードのCLK端子に長時間叩き
　込まれる危険性があるの何らかの形で電位を固定する必要が生じます。
　
　SDAの仕様上は指示は無いですが産業用SDカードを製造するswissbitの
　アプリケーションノートに有力な情報がありました。
　この状況が起こる場合は100kohmでプルダウンせよとのことです。
　この100kohmも適当に配置せずCLKの受信端、つまりカード側で最短で
　配置すべきです。これも変に配線を引き回してしまうとそれが信号線の
　分岐路となってしまいそこでまた反射が起こってしまうので最短経路で
　GNDにプルダウンするよう配線してください。

　仕様では直接の言及はありませんがこれらの情報を総合すると…、
　CMD,DATは論理HIでCLKは論理LOが無通信時の
　論理状態ということになります。
　尤もCLKに関してはSDMMCではパワーセーブなどを使用しない場合は
　延々と垂れ流し状態となるので論理レベルに関してはそこまで気にする
　必要はなく、上で述べた信号の終端のほうが最重要となります。

　シグナル・インテグリティの一般の解説ついては英語の文献となりますが、
　High Speed Digital Design Handbook of Black Magicと
　Signal and Power Integrity - Simplifiedがわかりやすくまとまって
　いますので必読です！

　ぇえ･･･?英語わからないですって…じ、じゃぁ日本語文献なら…
　マクニカさんの解説文書とか参考にしてください。
　正直英語圏で情報拾ったほうがよっぽど速くて正確ですよぅ##

●マイコンの内蔵プルアップ抵抗で代用するのは何故だめなのか
➡電源立ち上がり時にHi-Z状態の入力不定の時間を作ってしまうからです。
　マイコンのGPIOの機能で内蔵プルアップを有する機能がありますが
　上記の理由でSDカードのプルアップとするのは不適切です。
　かならずCMD,DATの各線は外付け抵抗でプルアップしましょう。

　STM32とかの大規模マイコンでは特にPOR後にマイコンが内部発振で
　起動->PLLでさらに高いクロックへ設定してそこから周辺回路を設定して
　…とやってると最終的にSDカードのGPIO(の内蔵プルアップ)の設定
　する頃にはSDカードはとっくに内部のコントローラは立ち上がって
　駆動しているのでもはや手遅れの場合があります。
　これはカードの個体差/種類によって大きく挙動が異なるため、それで
　動いたり動かなかったりすることになります。
　
　おまけにマイコンの品種によってはSDIO/SDMMC/SPIのモジュールを
　ハードウエア的に有効にしたら内蔵プルアップ抵抗がGPIOから切り
　離されてしまう仕様のものもあります。
　
　STM32F103のリファレンスマニュアルより。
　入出力が切り替わるAlternateFunction(SDMMCやSDIO)を有効にしたら
　内蔵プルアップが無効になり入力がHi-Z状態になることを示唆しています。
　これSDMMC/SDIOとかでSDバスモードでSDカード動かす際に引っかかって
　る人が多いです！ちゃんとリファレンスマニュアル読まないで
　ネットで拾ったソースと適当に線繋げただけだと絶対安定して動きません。
　このような憂いをなくすためにもかならずCMD,DATの各線はかならず
　外付け抵抗でプルアップしましょう。
　
　また、一般的にマイコンのGPIOに内蔵されるプルアップ用の抵抗は
　金属酸化膜とかで作られてるわけではなく、シリコン上に形成した
　定電流動作のFETをもって"うんちゃらVの電圧の時に**uAの電流が
　ながれてるから等価的にこんだけの抵抗値に相当するよー"という
　代物がほとんどです(電源ICとかの高精度をうたうものは実体抵抗が
　内蔵されてるケースもあります)。
　
　STM32H5のリファレンスより。
　しっかり"equivalent resistor"と明記されていてますね。
　金属酸化膜の実抵抗に比べて抵抗値の値のコントロールができず
　かなり大きなばらつきがあるという弱点も挙げられます。
　上記のSTM32だとある結構範囲は絞れてますが(それでもだめですが)…
　
　ATMEGA1284Pのデータシートより。
　AVRだとかなりばらついてますね。動作電圧範囲が広いせいもあるでしょうけど。

　そして内蔵プルアップ抵抗は一般的に30~100kohmと高抵抗でノイズの
　影響を受けやすくきわめて脆弱です。
　配線を基板や装置の外部に引き出して使うのなら、高速信号じゃなくても
　押しボタンスイッチなどのESDがビシバシはいる入力とかなら外付け抵抗で
　プルアップなりプルダウンなりしたうえでさらにESD保護ダイオードと
　ダメ押しの直列抵抗でガッチガチにガードすべきです！！
　
　
　またまたswissbitのアプリケーションノートからですが…
　産業用SDカードの老舗もこう言ってるからもはやマイコンの内蔵
　プルアップはSDカードのプルアップとして使えませんよねぇ…
　ぁー電源投入直後から恒久的に内蔵プルアップ(50kohm以下)が機能
　してるマイコンなら配線距離1cm以内なら多分大丈夫かと思います。
　そんなのめったに見たことないですけどー！！
　
　てわけで内蔵プルアップ・プルダウン機能を使う際はあくまでも
　そのシステムで使用しないGPIO(たいていデフォルトは入力)のHi-Z
　状態の防止程度にとどめておきましょう！
　SDカードのCMD,DATの各線は内蔵プルアップでごまかさずに必ず
　外付け抵抗でプルアップしましょう。
　大事なことなのでこの項の中でも3回言いました。
　
●ChaNさんも普通に内蔵プルアップやってるけど？何適当言ってるの？
➡貴殿はChaN師にあらず、わらは(私)と同じ技至らぬ者なり！
　至らぬ技量ならばなおこそSDA心得を紐解き精進すべし！
　(若先生風に)
　
　ChaNさんは確かに内部プルアップでSDカードを動かしてる作例が
　ありますが…例えばavrつかったgpsロガーとかですね…
　リンク先画像見てください。こんな細かい最短配線真似できますか？
　サブ�促�ーダーの配線距離ですよ…。こういうことやるのが大前提で
　内蔵プルアップでも成り立ってるのです。
　ねむいさんは逆立ちしても絶対真似できませんしそもそも5年前に目の
　手術したらそんな年になってないのにマッハで老眼加速してゲタ基板作る
　だけでも死にそうになってましたし右手プルプル病でいつもハンダ
　コテ握るきき手が常に震えてる状態です(👈これは登山始めたころから)。

　そんな状態でも1005サイズの抵抗までならハンダ付けできてますので
　横着しないでちゃんと外付け抵抗でプルアップしてくださいね☆
　ねむいさんもがんばるから☆

●いわれた通りプルアップしたら起動モード変わっちゃう奴があるんですが？
➡そ…そんな罠みたいな欠陥品…

　　捨ててしまぇえぇええええっ！

Go to top of page