LM4F120シリーズを使ってみる2 -Stellaris Launchpad単体でOpenOCDで書き込み・デバッグを行う-
退院したら荷物がいろいろ届いていました。
9月末に購入したSTM32F3-Discoveryもようやく来てました…長かった…!
体の方も完全に元に戻ったので東海自然歩道のほうも再開していきますので皆様方
覚悟してください!
さて本題に入りますが入院前にStellaris LaunchpadにビルドインされたTI-ICDIの
OpenOCDの対応状況について少し触れてました。あの時完成間近だったのでもう
コミットされてるよねと思ったら差し戻しでまだレビュー中になっています。
なんだかリリース時期について揉めてるようですが、私たちユーザサイドも
パッチを落として試すことができるのでどんな感じか試してみました。
以前のLuminary-ICDIと違う点はJTAGデバイスとして使うチップがFTDIのではなく、
LM4Fマイコンのファームウエアとして作りこまれていてドライバもTIのプロプライ
エタリな物となっています。この点はSTLink/V2がOpenOCDで使えるようになった
経緯とおんなじですね。こちらもTIのスタッフの助力の下TI-ICDIを叩くための
APIを提供してもらってOpenOCDの上位のレイヤーと下駄合わせをしています。
そしてAPIを使ってアクセスするのがSTLink/V2だけではなくなるので汎用的な
レイヤであるstlink_swdからhla_swdへとトランスポートの名称が変わってます
(OpenOCDのコンフィグの定義を少し書き換える必要が出る程度の影響ですが)。
使用するデバイスドライバはTI提供のデバイスドライバがそのまま
利用可能です。OpenOCDがサポートしているのはJTAG接続のみでSWDは
未サポートなのでご注意を。
てわけで早速書き込み・デバッグしてみました。
> "C:¥Devz¥Coreutils¥bin¥make.exe" program
openocd -s C:/Devz/ARM/OCD/tcl -f target/ek-lm4f120xl_flash.cfg -c "mt_flash main.elf"
Open On-Chip Debugger 0.7.0-dev-00089-gd6d4283-dirty (2012-11-16-14:13)
Licensed under GNU GPL v2
For bug reports, read
http://openocd.sourceforge.net/doc/doxygen/bugs.html
adapter speed: 1000 kHz
Info : clock speed 1000 kHz
Info : ICDI Firmware version: 9270
Info : lm4f120h5qr.cpu: hardware has 6 breakpoints, 4 watchpoints
target state: halted
target halted due to debug-request, current mode: Thread
xPSR: 0x01000000 pc: 0x00000280 msp: 0x20008000
auto erase enabled
target state: halted
target halted due to breakpoint, current mode: Thread
xPSR: 0x61000000 pc: 0x20000042 msp: 0x20008000
wrote 33792 bytes from file main.elf in 2.059203s (16.026 KiB/s)
target state: halted
target halted due to breakpoint, current mode: Thread
xPSR: 0x61000000 pc: 0x2000002e msp: 0x20008000
target state: halted
target halted due to breakpoint, current mode: Thread
xPSR: 0x61000000 pc: 0x2000002e msp: 0x20008000
verified 33216 bytes in 0.561601s (57.759 KiB/s)
shutdown command invoked
> Process Exit Code: 0
> Time Taken: 00:03
今回のTI-ICDIの対応を機に表示される情報が詳しい物に変わってますね。
わずかな人のみが気づいていたようですが今回の書き込みに使ったテスト用の
ファームは実は入院直前にUARTのルーチンも追加してました。
ChaN氏のLPC2388向けUART-FiFoを移植してます。
もちろんいつものデバッグ環境も自由自在です。
尤もTIの場合はIDE環境が非常に充実してるので無理やり私の行ってる環境に
しないでメーカー謹製の開発環境のままでも良いかと思います。
ついでですが冒頭のSTM32F3Discoveryでも同じことしてみましたこちらは
おなじみのSTLink/V2がビルドインされてます。
> "C:¥Devz¥Coreutils¥bin¥make.exe" program
openocd -s C:/Devz/ARM/OCD/tcl -f target/stm32f3x_stlink_flash.cfg -c "mt_flash main.elf"
Open On-Chip Debugger 0.7.0-dev-00089-gd6d4283-dirty (2012-11-16-14:13)
Licensed under GNU GPL v2
For bug reports, read
http://openocd.sourceforge.net/doc/doxygen/bugs.html
adapter speed: 1000 kHz
srst_only separate srst_nogate srst_open_drain
Info : clock speed 1000 kHz
Info : STLINK v2 JTAG v16 API v2 SWIM v0 VID 0x0483 PID 0x3748
Info : stm32f3x.cpu: hardware has 6 breakpoints, 4 watchpoints
target state: halted
target halted due to debug-request, current mode: Thread
xPSR: 0x01000000 pc: 0x08000708 msp: 0x10002000
adapter speed: 8000 kHz
auto erase enabled
Info : device id = 0x10036422
Info : flash size = 256kbytes
target state: halted
target halted due to breakpoint, current mode: Thread
xPSR: 0x61000000 pc: 0x2000003a msp: 0x10002000
wrote 6144 bytes from file main.elf in 0.624001s (9.615 KiB/s)
target state: halted
target halted due to breakpoint, current mode: Thread
xPSR: 0x61000000 pc: 0x2000002e msp: 0x10002000
target state: halted
target halted due to breakpoint, current mode: Thread
xPSR: 0x61000000 pc: 0x2000002e msp: 0x10002000
verified 4172 bytes in 0.171600s (23.743 KiB/s)
shutdown command invoked
> Process Exit Code: 0
> Time Taken: 00:02
こちらも詳しい表示に変更されています。
いつもの。
STM32F3-Discvoeryもまた別に時間を割いてご紹介するつもりですのでこうご期待!
今回の検証に使ったOpenOCDはテスト版なので公開していませんが
Windows環境を持ってる人で試してみたい方は連絡ください。
さらについでですがLM4F用のioviewでGPIOの出力レジスタをビット単位で
表示出来るように更新しました。
LM4F120シリーズ(Stellaris Launchpad)を使ってみる
入院をごく間近というか明日に控え、プールしていた小ネタで消化します…
Launchを"らうんち"と呼んでしまうねむいさんですが注文していたのが
やっとこ手に入りました!
Cortex-M4Fコアが乗ったLM4F120シリーズを使った超格安評価基板である
Stellaris LM4F Launchpadです!
なんと同じチップが2つも乗っかってます。そのうちの一つはStellaris-ICDIデバッガ
ハードウエアを構成しています。
I/Oピンはプロトタイプ性を意識して亀の子が出来るコネクタが実装済です。しかし
ピン側は非常に曲がりやすいのでご注意を。
さて、取っ掛りのLED点滅を行いたいところですがStellarisWareのソースコード
だけではCMSISに準拠していないのでTIのサイトに登録し、
"TI-CMSIS-Devices-****.exe"っていう
インストーラを探してCMSIS準拠のヘッダファイルその他を取得する必要があります。
…これでSTM32等でやってたプロジェクトと同じ物が作れました。ベースはまだ
手に入れていないSTM32F3の物です…おきぱにありますので自己責任でどうぞ…
ところでビルドしたバイナリの書き込み/デバッグなのですが残念ながらLaunchpadに
付いているICDIは過去の旧Lumitaryの評価基板にあるようなFT2232系の物やそれの
エミュレーションではなく独自の物となっています。つまりまだOpenOCDにはまだ対応
していません。しかし、STによるSTLink対応の時と同じくTI側の技術者さんも協力
してくれているようで、OpenOCDへの対応は進められているようです♥
それに先立ちオープンソースのLM4Fフラッシュライタも公開されています
(コメント欄のあたり)。
また、従来のVersaloonとかのデバッガは駄目なのかというとそうでもなく、外部に出て
いるJTAGのポートにデバッガハードウエアを繋げてやればSTM32と同じくJTAG/SWDで
読み書きやデバッグが可能です!
JTAG/SWD用のヘッダピンを追加するだけで他のハンダつけ作業も不要です。
当たり前ですがStellaris特有のROMドライバの関数を使った場合、関数の
中まではいけないのでご注意を。
InsightとI/OViewでDID0レジスタを見るとLaunchpadに使われてるLM4F120H5QRの
リビジョンはRev.A3であることが分かりますね。こう言う出始めに超格安で評価
ボードバラまく時って大抵ES品とかエラッタ満載のリビジョンの浅いの乗っけるん
ですがちょっとは良心的だと思います。
↓SWD接続のVersaloonで書き込んだときのメッセージはこんな感じです。
> "C:¥Devz¥Coreutils¥bin¥make.exe" program
openocd -s C:/Devz/ARM/OCD/tcl -f interface/vsllink_swd.cfg -f target/lm4f120xxxx_flash.cfg -c "mt_flash main.elf"
Open On-Chip Debugger 0.7.0-dev-00050-g98a41bc-dirty (2012-10-18-09:39)
Licensed under GNU GPL v2
For bug reports, read
http://openocd.sourceforge.net/doc/doxygen/bugs.html
Info : OpenOCD runs in SWD mode
adapter speed: 500 kHz
Info : Versaloon(0x15)by Simon(compiled on Jul 18 2012)
Info : USB_TO_XXX abilities: 0x0000072E:0x010001EF:0xC0000007
Info : clock speed 500 kHz
Info : lm4f120h5qr.cpu: hardware has 6 breakpoints, 4 watchpoints
adapter speed: 500 kHz
cortex_m3 reset_config sysresetreq
target state: halted
target halted due to debug-request, current mode: Thread
xPSR: 0x01000000 pc: 0x00000280 msp: 0x20008000
auto erase enabled
wrote 2048 bytes from file main.elf in 0.156251s (12.800 KiB/s)
verified 1124 bytes in 0.140626s (7.806 KiB/s)
adapter speed: 500 kHz
cortex_m3 reset_config sysresetreq
shutdown command invoked
> Process Exit Code: 0
> Time Taken: 00:01
おきぱにあるOpenOCDの32bitバイナリもLM4F120系のMCUの書き込みに対応した
cfgファイルをすでに追加してあります。
FT2232系やSWD接続のVersaloonで書き込みが可能です。
Launchpad付属のICDIもあともう少し待てばOpenOCDに対応される
はずなので首を長くして待ちましょう♥
まさか君も秋月ARM基板を買ってしまったのか・・・
少し前にSTM32 Primer1/2用のOS,CircleOSがバージョンアップしてます。同じく
してRaisonance RIDE7の開発環境も新しくなっていました。
ねむいさんはCodesourceryをメインに使っていますがRIDEに使用されている
コンパイラもCodeSourcery。
RIDEのはまだツールチェーンのバージョンがひとつ古いです(2009年9月20日現在)
早速RIDEを入れ替え、CircleOSを新しくしようと思ってRFlasher起動させてRLINKを
認識させようとするといきなりB.S.O.D.に!!!再起動掛けて同じ事やろうとしても
やっぱりB.S.O.D.…orz
仕方ないので一度RIDEの環境を全部消してまっさらな状態でもう一度インストールを
行い(USB周りのデバドラももちろん全部消した上で)、試すと今度はOK。
…RAMディスクにデータ乗っけて作業してること多いのでマジ涙目なお話。
追:WinUSBのドライバをXPでも使えるようにすると涙目が治りました。
…前フリはおいといて、秋月はSTM32 Primer2というARMマイコンのプロトタイプ
ボードを販売していますが、それよりもずっと前にARMの基板を販売していました。
ご存じの方が多いと思いますが、販売当時のネット上の状況、とりわけ2chの電電板の
反応をみると芳しくない反応だらけでした。ボード単体では何もできないとかROM書く
のにMITUIWAボードなるLAN搭載のボードを別途購入してそのボードにROMを載せ替え
て書き込む必要が、つまりは別途ROMライタが必須だとか、そのボードはせっかく
LANがあるのに何でかシリアル経由で書く必要があるとか程度のことですが。
…うn?
なんかもう持ってるだけで情弱扱いされてしまいそうですが、それを言ったら上記の
Primer2だって買っても使いたおさなければ情弱アイテムになりかねないのは同じで
すしでもこれ以上ネガチヴなことは言うのやめてせっかくタダ同然で私の手に入った
ので使ってみようと決心しました。でもほんっとに基板だけしかなかったので先人が
ネット上に遺してくれた資料だけを頼りに動かしてみることに。
この秋月ARM基板の詳しい説明はなひたふ氏、HRA氏が残されています。AT91R40807
はMCU内にフラッシュロムがなく、8kbのPrimaryRAM,128kbのSecondaryRAMのみが
あります。秋月ARM基板には外付けでAT29LV1024というフラッシュロムが乗っかって
いますが、MITUIWAボード(=ROMライタ)を使用せずにJTAG経由でなおかつ安価な
方法でROMの書き換えを秋月ARM基板単体で行う方法をHRA氏は実現しています。
少し詳しく言うとJTAG経由でRAMにIAP(In-Application Programming)を転送
実行し、秋月ARM基板そのものをROMライタ化させている…といった感じです。
HRA氏はIAPの転送を行うJTAGアクセスの方法としてなひたふ氏が当時無料で公開して
いたMITOUJTAG体験版を使用していますが記事が書かれて数年後の今、MITOUJTAGは
残念ながら私たちホビイストの手の届かない場所に逝ってしまいました。しかし今は
OpenOCDという超強力なツールがあるので私はOpenOCDを使って同じことを再現する
ことにしました。
またサンプルコードについては何分大昔の物なので私が愛用しているCodeSourceryG++
の環境ではまともにビルドが通りません。結局スタートアップやリンカスクリプト等は
ほぼすべて1から書きなおしています。AT91R40807に当たっては避けて通れない
リマップのし方とかOpenOCDで同CPUを叩くスクリプトの書き方とかはすごく勉強に
なった…。
以下各モードでの動かし方とか動かした様子とか。
ROMスタートモードで実行するときは、まずIAP(ここではRomloader.elf)をSecondary
RAMに転送&実行し、UART1上で本来書き込むべきプログラムをフラッシュロムへと
ダウンロードします。本来はDCC経由で書くべきなんでしょうけどもHRA氏が作成
されたツールを最大限に利用させてもらいました…。
ROMに置かれたプログラムは、スタートアップルーチン内でSecondaryRAMに転送
され、そこでさらにbss領域初期化などの処理を経てmain関数へと飛びます。
RAMスタートモードで実行するときは、ROMに書かれた内容はガン無視でリマップ
されたSecondaryRAMに0x00100000からダウンロードします。さすがに早いです!
ROMスタート時と違って一切合財SecondaryRAMに押し込むので少しかさが
増えてます。
OpenOCDを使用した上記RAM,ROMスタート方法の具体的なテクニックは後に示す
ソース中のmakefikeを見てくださいね。
OpenOCD+CodesourceryG++のARM開発環境下でRAM,ROMスタートの方法を
見つかるまでかなり時間がかかりましたけどいつものUart経由でprintf
出力の所まではできました。
こっから先は回路図持ってないので出来ません…。ていうかSTM32F107とかLPC2388
とかの魅力的な石が出回ってる現在ではこれ以上この基板に時間をかける気はもう
微塵もありません!!
…しかし、時間が死ぬほど余ってる&この基板をただで手に入れたぜ〜!
なんて人は、リマップやROMなしCPUにおける外部ROMスタートの仕組みを学ぶのに
うってつけだと思います。
※20090930:
祝!秋月さんHPにてついに回路図が公開されたようです!
ねむいさんはもうこの基板やらないけど!
今回のテストプログラムはこちらです。最低限の部品で動きます。
またAT91R40807用のOpenOCDのスクリプトはこちらに。
上記サンプルソースにはビルド済のRomloaderのelfがあるけど別途コンパイルしたい
なんて方のためにこちらに置いときます…。
以上ご利用は自己責任で…。
全然関係ないけどAT91R40807が正解なんだけどAT91R40708といつも間違えてしまうorz
-
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