Windows10対応軽量シンプルなARMマイコンのGCCビルド環境を構築する(2020年度版)
OpenOCD for Windows is HERE!
↑ねむいさんは自前ビルドのOpenOCDバイナリ公開してます。
解説はこのバイナリを基にすすめますので4649!
当記事はWindows環境下におけるARMマイコンの開発環境構築を目指してはおりますが
私が公開しているプロジェクトをビルド/デバッグするために必要な最小限の手順の
指南という位置づけです。
はっきり言いますが初学者向きの解説ではありません。専門的な語句の意味や
GNUMakeを駆使したコマンドラインビルドの方法を熟知している前提で話を進めます。
2019年現在は無料のEclipseベースの開発環境GNUARMECLIPSE、
STM32限定でフル機能が使えるAtollic TrueStudioとMDK-ARMの2品種、
そしてオンラインコンパイラ+ライブラリ等の強力なサポートがあるmbedとかが
充実しており、一般的な事柄を学びたい初学者の方にはそちらを強くお勧めいたします。
ちなみにねむいさんはメーカサポートが無い素のEclipseを使うと「あわびゅ!」と
叫びながら全身から血を吹き出して死ぬ奇病に罹っていて、且つCygwinを使うと
バストサイズが強制的に20cm減のマイナス補正を喰らい(=フラットなB(Breasts)特性
を持ついないさんと同レベルに堕ちてしまい)虹裏メイドねむいさんとしての
あいでんてぃてぃを完全に失ってしまうため、当ぶろぐでは絶対に扱いません。
※要注意※
ツール群の盛衰や時勢により時々刻々と本記事の内容は変化していきます!
●必要なもの
1.ARM用GCCコンパイラ
とにもかくにもまずはこれです。
現在はLaunchpad.netが提供し、ARM本家から配布されている
GNU Tools for ARM Embedded Processors
を強くお勧めします。表向きCortex-Mx向けとなっておりますが、LPC2388等の
ARM7TDMIもしっかりサポートしており古い品種でも問題なくビルドが可能です。
今回の手順ではダウンロードした上記コンパイラをC:/Devz/ARM/launchpad
直下に解凍するものとします。解凍後launchpadフォルダには
arm-none-eabi,bin,share,libの4つのフォルダがあるのが正解です。
Windows環境下で動くARM用GCCコンパイラとして、Bleeding Edge Toolchain
なんかもあります。いずれもABIはEABIで2015年以降流通している
最新のGCCコンパイラはもはやすべてEABIとなっています。
2.サポートツール群
ねむいさんが公開しているプログラムはコマンドラインビルドを想定しています。
IDE全盛の昨今は古臭いものとなってしまいましたがmakeコマンドでビルドする
というベタベタなクラシックな手法を敢えてとっています。
makeの他にunixコマンドのechoやrmなどを用いているので、これらのunix
ライクなコマンドをネイティブなWindows環境下で動かすことができる
Coreutilsを使用します。
a.Coreutils本体
有志の方々が作成されたCoreutilsの"Binaries"のリンク先をダウンロードし、
2バイト文字やスペースを含まない任意のフォルダに解凍してください。
b.GNUMake3.81
次にGNUMakeを同様にダウンロードしたあと解凍しCoreutilsを解凍した
場所と同じフォルダに置いてください。
c.サポートDLL群
最後にmakeをダウンロードしたページの下にある"dependencies zip file
(中身はlibintl3とlibiconv2)"をダウンロードしGNUMakeと同様の処置を
してください。
今回の手順では上記3点がすべてC:/Devz/Coreutils/bin内にあるものとします。
このbinフォルダ内にmake,echo,rm等のunixライクコマンドとdepedenciesの
libintl3.dll,libiconv2.dllが存在していることを必ず確認して進めてください。
ここで間違ってると下述のPN2からmakeを呼び出す段階でコケて失敗します。
よくやる間違いが、最初のCoreutilsを解凍して出てくるbinフォルダの中に
さらにmakeやdepedenciesの入ったbinフォルダを置いてしまうことです。
C:/Devz↑ねむいさんは上記のディレクトリ構造にしています。
├ARM
|└launchpad
| └bin (←GCCコンパイラのバイナリがある場所)
|└ocd(←openocd.exeのある場所)
└Coreutils
└bin (←make他unixライクコマンド群のある場所)
以下この構成で話を進めます。
ちなみにAVRToolChainでもARMと同じような感じのディレクトリ構成にすると、
同じ感じでコマンドラインビルドが出来ますのでおすすめです。
※以前はWinAVRのutils配下にあった同様のファイル群の使用を推奨していましたが、
WinAVRは開発が停止し数年経ち、フリーで利用できるAVRToolchainに主流が移行
したのでもう一切使用しませんし使ってはいけません。
2.5.sh.exeが見つかりません対策(必ずしも必要ではない)
ネット上で手に入るARMマイコンのGCCプロジェクトの中ではWinAVRのmakefileを
ベースにしたものがいくつか存在し、そこにはshell関数などのbashに依存した記述が
数か所あります。この記述が含まれているとまともにビルドができません。
当ぶろぐで公開してるプロジェクトはmakefileからbash(/bin/sh)に依存して
いる記述はすべて排しておりますが、他の方のプロジェクトをビルドする際の
回避措置として紹介します。
こちらからwin-bash.zipをダウンロードし、解凍して出てきたwin-bash.exeを
Coreutilsのbinフォルダに突っ込んでください。次にmakefile ファイル中に
記載されているはずのSHELLの設定を以下のように書き換えてください。
SHELL = sh
↓
SHELL = win-bash.exe
bash.exeは自身のファイル名によって特殊な動きをするので横着してwin-bash.exeの
方をsh.exeとリネームしてしまうと逆にビルドが通らなくなります。ご注意ください。
3.エディタ
メモ帳でセコセコ編集してコマンドプロンプトからmakeを実行してもいいですけど
makeを引数つきで呼び出せられるエディタを使えばIDEのように使えます!
ねむいさんのお勧めはProgrammers Notepad2(PN2)です。素のEclipseは(ry
ビルド時の解説はこのPN2を使用して解説します。
注:必ずStable2.3以降を使用してください。
また、日本語入力に対応するために下記の要領で多バイト文字の設定を
”Shift-JIS”に変更しておいてください。
それとPN2のインストール先は無用なトラブルを避けるためスペースや2バイト
文字が混ざるディレクトリは避けてください。
4.デバッガソフトウエア&ハードウエア
ARM用のデバッガはホビーユーザーご用達のGDBサーバであるOpenOCDを
使用します。次回の記事で使用法を紹介します。
また、MCUとJTAG/SWDで通信するハードウエアはFTDIのFT2232系JTAG-I/Fを
使用するのが私の中でスタンダードになっています。
これらに関しても次回詳しく紹介します。
●下準備とビルド
※以後はエディタとしてPN2をインストールして使うことを想定して解説します。
1.ソースコードの展開
今回の凡例として、STM32F4向けの液晶表示プログラムをダウンロードして
ローカルに落としたzipファイルをローカルフォルダに展開します。
このときディレクトリパス(アドレス)にスペースや2バイト文字が絶対に
入らないようにしてください。
2.makeファイルの編集
PN2がインストールされている場合、拡張子pnprojのアイコンをダブルクリック
すると下のような画面になると思います。"makefile"をクリックしてmakefileの
編集画面を出しましょう。
OpenOCDとarm-none-eabiのファイル名は特殊なことをやらない限りは
もう変えないようにしてください。
下画像の要領でそれぞれの環境に合わせてARM用GCCコンパイラ、サポートツール
群、デバッガのディレクトリパスを設定していきます。パスの区切りは"¥"
ではなく"/"を使用してください。
ディレクトリパスはスペースや2バイト文字が絶対に入らないように
してください。大事なことなので二度言います!!
makefileの書き方の作法は此処では解説しないので
各自詳細は調べて下さい。
3.PN2の設定
PN2をインストールしたての人は、makeコマンドをPN2の"TOOL"から
呼び出すことが出来るように以下の要領でmakeコマンドを引数"all"
つきで登録してください。
その後、"build","clean"の引数についても同様に登録してください。
重要:Windows環境変数のPATHは設定する必要はありません!
下手に設定しているとビルドが通らなくなることがあるのでご注意ください。
4.ビルド開始
デフォルトでは評価ボードの設定はSTM32F4Discovery向けになっています。
また、各評価ボード設定時の各ピン配置を知りたい場合は同梱のdoc/Boards.txtを
参照してください。
設定が終わったら"Tool"から"make all"を呼び出しビルド開始です。
ビルドが完了したらメモリ使用量などの情報がコンソール上に現れます。
もしコンパイルエラーなどが発生しビルドが止まったら赤色で強調表示されるので
エラー箇所の特定も簡単です。
上記の液晶表示プログラムはデフォで下記のライブラリ/ドライバを
有効にしてます。
-libjpeg
-libpng
-giflib
-FONTX2ドライバ
-抵抗膜式/容量性タッチパネルドライバ(特定のボード限定)
-HelixMP3デコーダ(特定のボード限定)
-HelixHE-AACデコーダ(特定のボード限定)
数分ほど時間がかかります。Warningが出ますがビルド時の設定喚起の
ためにソースコード中に"#warning"プリプロセッサを敢えて入れてる箇所が
いくつかありますので気にしないでください。
エラーが出てビルドが止まった場合は各種設定を見直しましょう。殆どの場合、
makefile中でPATHの設定を誤っています。
ちなみに"make all"はコンパイルしたオブジェクトを全部消してまっさらに
してからビルド、"make build"はすでにオブジェクト吐かれたソースはスルー
してビルド(ソースコードを一部書き換えてカット&トライしたいときに最適)です。
"make clean"はその名のとおり生成されたelfやhexファイル含めてアセンブラ
リストファイルやオブジェクトをまるっと消去してしまいます。
お次はターゲットCPUへの書き込み&デバッグですが…次回に続きます。
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