STM32F4シリーズを使ってみる10 -CMSISがバージョンアップした-

STマイクロさんから超安価なArduino用拡張ボード互換且つmbedサポートな
STM32 Nucleoなるボードが発表されすでに販売されております。
ねむいさんもSTM32F030シリーズが載ったタイプのnucleoボードを
mouserから購入しました。
…のはいいのですが一緒に購入したEFM32のCortex-M4バージョンWonder Gecko
単品が輸出規制に見事に引っかかりてんやわんやがあったため今だ手元には
届いておりませんorz入手出来たらぶろぐに書きますのでしばしお待ちを。

ちなみに元凶のWonderGeckoにはハードウエアAESが搭載されています。
これが暗号に関する技術のため他社のマイコンでも暗号化機能を持つ品種は
しばしば輸出規制に引っ掛かります。ちなみに"ZeroGecko"にもばっちり
ついていたのですがマイコン単品ではなく評価キットという形で同時に
購入したので引っ掛からず素通り。なんといい加減な…#
…まぁ海外またぐ流通では非にとてもよくある事柄ですねorz
EFM32の件については後日OpenOCDカテゴリでもご紹介します。



さて、前置きが長くなりましたが少し前にCMSISがバージョン4
(以下CMSIS-V4)に上がっております。但し"ARM,LTD.が提唱しているCMSIS
という規格全体"がバージョン4になったという意味ですのでcore_cm0.h等の
コアに関するヘッダファイル単体はV3.20->V3.30
いうバージョン推移となっておりますのでご注意ください。
非常にややこしいですがV4.00ではありません。

あと以前も述べました気がしますがARM社がリリースしているCMSISのコアヘッダファイル
(本来はここまでがCMSISと呼べる範疇)とSTマイクロやNxP等各ベンダがリリースして
いるCMSIS"準拠"ペリフェラルライブラリまで全部ひっくるめて"CMSIS"と混同して呼称
される方が2014年の未だになっても非常に多いです。
ARM本家に日本語で概念が記されていますのでしっかり覚えておきましょう。ちゃんと
違いを理解しておかないと展示会とかイベントやセミナーで"CMSISって無駄にコード
サイズ増えるから使いづらいですね(地獄のミサワみたいな顔で)"と言ってしまい数か月
後に自分の言った言葉の意味を漸く理解して時間差で恥かきます。
かくいう私もえらそうなこと(地獄のミサワみたいな顔で)言ってますが最初にSTM32に
触れた時は思いくそ勘違いしておりましたがー!



…すみませんまた話が脱線しました。今回のCMSIS-V4からは前回の更新で
ヘッダファイルのみが付与されていたcmsis-osが全てのソースコードが
添付されCMSIS_RTXというフォルダに同梱されております。
ライセンス的にもBSDライクなのでむしろFreeRTOSよりも自由度が高いかも
しれません。GCCのコマンドラインでビルドできるようになったら爆発的に
普及すると思います。私もどのようにして実装するか試行中です。

そういう訳で私のいつものSTM32F4のプロジェクトは上記の最新のCMSIS
コアヘッダファイルに差し替えさらにChaN氏のFatFs0.10aのかなり
クリティカルな修正も反映済にしてあります。
Makefileやリンカスクリプトの記述も将来を見据えていくつか変更を加えて
いるので、私のサンプルをベースに何かを作成されている方はご注意ください。




そしてこの記事を書く少し前にSTマイクロよりまたまた新しいSTM32向け
フレームワークが提示されていました。STM32CubeMXと呼ばれるコード
テンプレート作成のためのツールを通してプロジェクトの土台作りの簡略化を
狙うとのこと。

このSTM32CubeMXには今回のCMSIS-V4の思想を反映したCMSIS-Driverなる
ハードウエアの抽象化を狙った規格に準じた新たなSTM32F4向けのペリフェラル
ライブラリ
が準備されております。
以前のSTM32F4向けCMSIS準拠ペリフェラルライブラリはすでにNRND(非推奨)
となっていますのでF4以外のSTM32品種も今後はこちらをベースとした
ライブラリ群に置き換わっていくことになると思います。

サラっとみた感じでは以前と同じCMSIS準拠なのですがマクロ定義や関数が
かなり違うので右を左にやる感覚で置き換えは不可能で実質全くの別物を
移植する感じで挑みたいと思います!
まずはおなじみのF4系から攻めていきますのでこうご期待!

ちなみにNxPのLPCOpenではSTM32に先駆けて再配布の規約をようやく明確化し、
そして体系化もしたライブラリ群を提供していましたが微妙にCMSISに
準拠していないのでChaN氏にまたDisられないように早急にCMSIS-Driverに
基づいたペリフェラルライブラリ群の整備を行うべきだと感じます。
出た当初は少ない品種だったためまだまとまっていましたが周辺レジスタの
構成が全く違うのに無理矢理LPC1xxx系でひとまとめで括ろうとしたせいで
逆に冗長な記述が増えてしまい結局各シリーズごとにLPCOpenが分かれだした
始末で混乱を極めている感がします。
はっきり言って開発のしやすさ/ライブラリ整備の点ではSTM32やEFM32に
大きく引き離されています。
ChaN氏も言ってましたがこれは非常にまずいです。使いやすいライブラリを
提供するというのはチップのerrataを出さないことと同じくらい非常に
大事なことだと思います。

と、
mbedのセミナーに絶対に行けなくなるような最後っ屁を放ち今日の日記を〆ます。
かしこ

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