STM32Cube系ライブラリ移植への道


いうわけでSTマイクロの苦情隔離場でbugという文字が乱舞するいわくつきのSTM32Cube
ライブラリへの移行を順次開始しました!
NUCLEO-F030板
NUCLEO-F401板
NUCLEO-F334板
おしまい。ぁー憑かれた…












すみません冗談です冗談!春先にも少し触れてすでにこれちょっと微妙だ
判断を下したSTM32CubeF4をはじめとするCube系ライブラリは今までの
"標準ペリフェラルライブラリ"とは互換性が全くなく、バグも多数報告されて
いたのでねむいさんも移植に難色を示していました。
が、
最近発売されたNucleo系のボードに搭載された新しいMCUはもはや過去の
ライブラリには未対応となっており、事態を重く見たねむいさんもようやく
重い腰を上げたわけでございます。
早く座らせてくれ
(※以下、縮めて"HALライブラリ"と呼称します)


実はここ数か月でHALライブラリへの移行準備自体は着々と進めていて、
その第一歩として手持ちのNucleo板のプロジェクトのライブラリを一気に
移行していました。現在手持ちは写真のとおり(って見た目同じですが)
F030,F401,そしてF334の3つです。
それらのプロジェクトはごくごく基本的な動作のみを網羅した小規模な
プログラムにとどめていたのでまだ難易度は低く、移植の感触をつかむのには
うってつけでした。
私の公開しているプロジェクトは全てこちらの手順に準拠しているので
移行後も不自由なく同じようにビルドできるものを目指しました。

移行にあたってねむいさん的ポリシーは以下の要素に。
1.プロジェクトのディレクトリ構造は従来の物から崩さない
 まぁ鉄則ですね。ケアレスミス防止目的でもあります。
 互換性を重視しすぎて不便になるのも本末転倒なので変えるべきところは変えます。

2.HALライブラリに依存する箇所をなるべく作らない
 これも鉄則ですね〜。またライブラリ大変更されたら目にも当てられないですし。
 抽象化のためにサイズが激増する冗長なコードがやたらと多いので分解・
 簡略化して別途作ったほうがいいです。一方でHALライブラリ使った方が分かり
 やすい周辺機器の初期化の箇所は割り切って利用していきます。
 
 ぇ?それじゃHALライブラリ使ってる意味無いだろですって!?
 無いですよ。そんなもん最初っから(キレ気味)

3.STM32CubeMXで生成されたひな形は利用しない
 STM32CubeMXは各開発環境ごとにHCLK/PCLKの初期化コードを含むひな形を
 自動作成するJAVAで作成されたプログラムを指します。ねむいさんの環境は
 GCCのコマンドラインビルドに属する極めて原始的なものなのでひな形を
 そのまま利用できません。

 CubeFxのアーカイブにサンプルコードが収録されてるのでCubeMX使わずとも
 それ見たら殆ど事が足ります。おまけに生成されたコードが現状バグだらけで
 まったく信用出来ないので100000000000000000000歩譲ってHCLKやI2C/I2S
 クロック周波数の初期設定に軽く参考にする程度です。

4.メモリリソースはなるべくていうか絶対に許さ浪費しない!
 HALライブラリでは抽象化を上げるためインスタンスという概念が
 追加されています。それに付随する構造体が馬鹿でかいサイズなので
 F0系ではSRAM領域を圧迫されすごく苦しくなります…
 なるべくグローバル変数で確保はしないように心がけましょう。


上記の点を念頭に入れて再構成したプロジェクトと従来のプロジェクトでビルドした
バイナリファイルのサイズの比較してみました。比較対象基板はF030板のです。
*STM32 StdPeriphDriver(STM32F030R8T6_NUCLEO_20140326.7z)

Built Object Informations:
=== Total Binary Size ===
text data bss dec hex filename
0 7216 0 7216 1c30 main.hex
=== Verbose ELF Size ===
text data bss dec hex filename
7096 120 328 7544 1d78 main.elf


*STM32 HAL Driver(STM32F030R8T6_NUCLEO_20140702.7z)
Built Object Informations:
=== Total Binary Size ===
text data bss dec hex filename
0 7916 0 7916 1eec main.hex
=== Verbose ELF Size ===
text data bss dec hex filename
7796 120 412 8328 2088 main.elf

orz
フラッシュもSRAMも使用領域ががっつり増えてやがるorz

HAL Driverのスタートアップは"__libc_init_array"のリンクがあるのでC++の対応を
すててこれを取っ払ってみました
Built Object Informations:
=== Total Binary Size ===
text data bss dec hex filename
0 7828 0 7828 1e94 main.hex
=== Verbose ELF Size ===
text data bss dec hex filename
7708 120 412 8240 2030 main.elf

焼け石に水orz
SRAMを減らさなければ…

HALのSysTick関数"HAL_GetTick"は_weakで切られていて
オミットできるのでやってみた
Built Object Informations:
=== Total Binary Size ===
text data bss dec hex filename
0 7820 0 7820 1e8c main.hex
=== Verbose ELF Size ===
text data bss dec hex filename
7700 120 408 8228 2024 main.elf

フラッシュメモリで8バイト、SRAMは4バイト減りましたが焼け石に(ry

bss領域がインスタンスの確保で100byteも増えやがるのはF0系で
かなり痛いんですよね〜。こいつを追い出してみました。
Built Object Informations:
=== Total Binary Size ===
text data bss dec hex filename
0 7776 0 7776 1e60 main.hex
=== Verbose ELF Size ===
text data bss dec hex filename
7656 120 300 8076 1f8c main.elf

雄々ッッ!!BSS領域が元より減りましたよ♥
もぅいいわこれで…もちろんスリムになってもちゃんと動作してます♥
※最初に取り除いた"__libc_init_array"はC++な人のためにリンクを復活させてリリースしてます。

今回の検証に当ってHALライブラリを使用したexampleの中で構造体の一部の要素が
未設定により起こる不具合がみつかりましたがまぁライブラリ自身の不具合じゃない
のでスルーで…(ねむいさんのプロジェクトでは明示的に初期化してます!)
そして話が冒頭の文章に戻るわけです。



ひとまずNUCLEO系板はすべて移行して最適化完了ですが残るDiscovery系の
板のはどうしようか考え中です。特にSTM32F4のいつものは多数の
ペリフェラルを使用しているので移植は本当に腰据えて一気に攻め上げないと
バグを生んでしまいますからね…
しかしいずれは通らなければならない道だと思います。
FATFSのSDIOとDMAの処理の移植が峠になりそうです。

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