STM32F4シリーズを使ってみる6 -giflibを実装する-

前回はlibpngを実装してTFT-LCDに表示を行いましたが、今回は同じく現在でも
多用されているgif形式の画像がデコードできるgiflibをSTM32F4に実装し、さらに
アニメーションgifのTFT-LCD上においての再生も成功しました。


●あらまし
giflibはlibungifを前身に持ち、LZWというアルゴリズムでエンコード・デコードを
行います。ご存知の方は多いと思いますがそのパテントを持っていたUnisys社により
一時はgifフォーマットがあまり使われていなくなっていた時期がありました
(代わりのフォーマットとしてpngが出てきました)。
2012年現在はそのパテントの期限も切れて自由にLZWが利用できるに至っています。

gifフォーマットはpngと比べて256色までしか表現できませんが、アニメーションgif
として今でも現役で使用されています。ことさら私たち虹裏メイドに関しては、
ファイルのアップロードに500kByteの制限がある虹裏の板の仕様上pngと並んで
アニメーションを表現するのに非常に重要な形式であり、これをSTM32F4に代表される
大規模マイコンに移植し表示せしめることは最早宿命とも言えます!

STM32F4への実装と動作の理解の助けとして、yoya氏のwikiを参考にさせて
いただきました。ありがとうございます!


●必要なもの
giflib
今回は出来たてホヤホヤのgiflib-5.0.0を使用します。

●ファイルI/O
libjpegやlibpngと同じようにFatFsのAPIを差し替えりゃ簡単…とはまったく言えず、
PC向けにファイルI/Oが特化されたgiflibをChaNさんのFatFsの流儀に嵌めるまでは
かなり試行錯誤を強いられました。最終的にDGifOpenFileHandle()内はFatFs完全特
化する形で書き変えてしまいました。

●makefileに追加するCソースファイル
デコードするためには最低限下記ファイル群が必要です。
dgif_lib.c
gif_err.c
gif_font.c
gif_hash.c
gifalloc.c
quantize.c

dgif_lib.cに関しては一部内容の書き換えが生じます(後述)
dgif_lib_fatfs.cとリネームしておいてください。

●ARMマイコン上で動作させるための少しの変更
FatFsのAPIに当てはめるため、幾つかの変更を強いられます。
dgif_lib_fatfs.c
 ->"/* Nemui Changed */"の変更・削除した部分を参照してください。
gif_lib.h
 ->ff.hをインクルードしてください。
 ->178行目のプロトタイプ宣言は以下に変更してください
   GifFileType *DGifOpenFileHandle(FIL* fp, int *Error);
gif_lib.h
->ff.hをインクルードしてください。

●gif(アニメーション)を表示する
多くのアニメーションgifではインターレースがどれかのフレームで使用されて
いたため、インターレースの表示ルーチンも実装しました。giflibにあったexampleを
見れば特に困ることはありません。
もちろん表示スピードは落ちますが透過表現も実装してます。

また、実際の表示に関してはRAMの少ないマイコン上の話なので一列ずつ表示
することになります。この時に消費されるRAMはベースで28672Byte(デバッガの
追跡により算出)と一列ごとのピクセル数*3です。
だいたいlibpngより少し少ない量になりますね。

しかしながら、320x240サイズのちょっと大きめでフレーム数が多いgifアニメー
ションは再生中にもメモリ要求量が増大していき、総量で70kByte近く消費しました。
libpngも大きい画像サイズの奴をデコードしようとすると65kbyte程使うように
なりますがそれより多いのです。
というわけで専ら大容量の内蔵SRAMが使用できるFM3・STM32F2&F4ですね〜。

デコードされたRGBデータは8+8+8の24ビットの形式となっているため、565の
16bitにしてTFT-LCDにデータを書き込みます。
グローバルカラーマップとローカルカラーマップの判別もこの段階で行います。



そして動かしたところです…
(gifファイルはとしあき&「」作の物を使わせてもらいました!)


↑写真が静止画なので分からないと思いますがgifアニメーションが動いてます。
 アンドリューW.K.さん(キャラクターが)いいよね…


↑gifアニメーションの最終フレームまで来たら停止します(ループはしません)。
 ちなみにgifの仕様上ディレイ時間は10mSec区切りとなるので実装時は適切な
 時間のディレイを生成する必要があります。
 また、私の表示プログラムでは最終フレームまで行かなくても途中で各入力を
 行うことによりファイラに強制的に戻ることができます。



↑STM32F2でも動く!当たり前ですが…
 …STM32F1はRAM容量的に流石にきつかったので抜きで。

FM3マイコンでももちろん動きます!


ということで今回の成果はおきぱのSTM32F4,F2,FM3のFatFs移植例に
すでに反映しています。前回も少し触れましたが、私が使わせてもらている各
ライブラリ・プログラム・フォントのライセンス表記についてもきちんと明記する
ようにしていくようこころがけています。

おまけ

またまた買ってしまった(写真奥)…これからは解像度320x480で小型なTFT-LCDの
時代です!手前のaitendoさんで売ってるのより一回り小さいやつで、コントローラICは
HX8357Aです。今回のいつものの更新ではこちらの液晶にももちろん対応させています。

大きさも3インチと一回り小さいので出来あいLCD基板にちょうど乗ります♥

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