STM32F7を使ってみる17 -とっくの昔ですがCubeF7がv1.6.0になっていた-

前回少しだけ触れましたが、STM32F7向けのHALライブラリCubeF7のバージョンが
v1.5.0(CubeMXの場合v1.5.1)からv1.6.0に上がっておりました。

主な変更点はARMv8系コアのSTM32F7x27x3シリーズのレジスタ定義が追加された
事と、SDMMCドライバの大変更、さらに悲願のマルチメディアカード&eMMCサポート
の追加です。

eMMCのサポートはねむいさんも歓迎すべき事柄なのですがソースコードを読み解くと
その期待は完全に裏切られました☠なぜなら…

1.初期化シーケンスさえしっかり記述したら同一のソースコードで読み書きできる
  はずなのになぜかSDカードとMMCのソースコードがわざわざ分離されている。
  (↑まじふぁっく)

2."1."のおかげでSDカードとMMCが同時に使用できない。
  (↑まじふぁっく)

3.MMCの処理中でMMCv4以降のカードで必須のExtCSDレジスタを取得していない
  ため4GB以上のeMMCが全く使用不可能。昨今のeMMCは最低8GBからなので全く
  無意味。
  (↑まじふぁっく)

4.DMA転送のコードが適当で使い物にならずデフォのポーリング版しかまともに
  動作しない。v1.5.0の時は私が手を加えなくともある程度まともに動いていた。
  (↑まじふぁっく)

5.SD/MMCとも両規格で指定されている電源投入->動作電圧到達後1mSec待ちその
  後74クロック空撃ちする処理が無くたまにイニシャライズすら失敗するカードが
  出る。eMMCは一部カードでbootシーケンスの際に74クロックが必須。
  (↑まじふぁっく)

6.まともなはずのポーリング版でも一見動いてるように見えるけどランダムで
  ReadもWriteもエラー発生するのが判明orz v1.5.0に戻すと全く問題なし。
  (↑馬鹿野郎)

私を含め外人さんたち憤慨していますが最終的にねむいさんのコードで動いたYO!
とのことで胸をなでおろしております。
CubeF7とは関係ないですがこちらの方は歓喜の絶叫を上げております。


ねむいさんはChaN師の「xxの上手な使い方はxxを使わないことである」と言う
格言に倣いCubeF7v1.6.0にv1.5.0のSDカードのドライバ(ややこしいですがHALライ
ブラリ自身のバージョンはv1.2.0)を無理やり移植してやりましたよオラー!

無理糞移植なものでねむいさんの環境以外で使用するには多少コツが要ります。
1."stm32f7xx_hal_conf.h"内の"#define HAL_SD_MODULE_ENABLED"をコメント
  アウトし"#define HAL_MMC_MODULE_ENABLED"を有効にする。

2.ねむいさん謹製の無理糞ドライバ"sdmmc_stm32f7.c"をプロジェクト/makefile
  のビルド対象にする。

3."diskio.c","ff_gen_drv.c"はv1.5.0の物を流用する。

4.内部変数はDTCMからとるようにリンカ/スキャッタファイルを設定しておく。
  (アライメントずれとデータキャッシュ不整合対策です)


"1."で何故本来は不必要なはずの"#define HAL_MMC_MODULE_ENABLED"を
有効にしているかと言うと、これを有効にしておかないとstm32f7xx_ll_sdmmc.c
で必要なローレベルの関数がビルドされずエラーになるからですファッ●ク!
ちなみに"#define HAL_MMC_MODULE_ENABLED"と"#define HAL_SD_MODULE_ENABLED"
を両方とも有効にしていると定義がぶつかって
またまたビルドエラーになりますフ●ァック!11!!1

そんなこんなでCubeF7v1.6.0でも安定してFatFsが動作するようになっております。
FatFs0.12cの最新パッチやCMSISv5の最新版ヘッダフィルを適用した4月版のソース
コード
も先行ですがアップしておりますのでどしどしご利用ください。


一方でむぎたさんは私のドライバを既に試されており残念ながら上手く動作できな
かった
とのことですがv1.5.0時代のコードでも大幅にSDMMCのクロック周波数を落と
さないと駄目
とのことでSDMMCの各信号波形そのものが変になってる
可能性があります。

いわゆるインピーダンスミスマッチ状態で各信号の波形に相当なリンギングが発生
している事が考えられますのでオシロで波形を確認したのちインピーダンス整合用の
直列抵抗(最大47Ω)をSDMMC_CKの出力端(MCUの端子直近に)挿入
する、それでも駄目
ならさらに全信号ラインにフェライトビードを挿入する等の措置でクロック周波数を
落とさずに改善できるはずです。そこまでやっても駄目なら配線の引き回し自体に
根本的な問題があるのでmicronのeMMC使用時の設計ルールを参照して基板のレイ
アウト設計から見直す必要があります。

RTOSを絡めて使用されている場合はDMA転送用のメモリ領域がDTCMに割り当てられて
おらずキャッシュの整合性が崩れてこけている可能性もあるため切り分けのために
まずはDMA版ではなくポーリング版で動作確認してみてください。

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