STM32F7を使ってみる16 -USB-MSCを使ってみる応用編-
前回はSTM32F7のSDMMCインターフェースを用いてDELKINの工業用SDカード
からSMARTの情報をCMD56コマンドを駆使し読み出す事に成功しました。
その前にUSBカードリーダーに直接DELKINのカードを接続した時はDelkinDashboard
なるWindowsアプリを用いるとSMART値を読み出す事が出来るのを確認しています。
そこで今回はUSB接続のカードリーダーに化ける奴でDashboardが使えるかどうか、
いくつか試してみました☆
1.OLYMPUS STYLUS TG-4
->SMART読み出しOK!
TG-4はねむいさんが品質管理の証拠写真取る際やトレランで大活躍のでぢかめです!
2.STM32Primer2 GNSS Tracker(のUSB-MSCモード)
->SMART読み出しOK!!
いわずと知れたSTM32Primer2を用いたねむいさんのぶろぐ唯一の実用品です。
2009年から今に至るまで8年間、-10度〜+40度の過酷な環境を耐え抜き延べ3000km
以上の山道をねむいさんと共に駆け抜けてきたすごい奴です!
3.STM32F746G-Discovery(のUSB-MSC(HighSpeed))
->SMART読み出しOK!!
とりあえずSDカードが読めるUSBカードリーダー(USBマスストレージクラス)なら
何でもいけるような気がしてきましたよぅ・・・
"1."はともかく"2."と"3."についてはUSB-MSCに明示的にCMD56を発行する
ようなルーチンは実装していなかったのでこれはつまりCMD56を用いなくても何か
別の方法でSMARTを読み出せられる手段があるのではないかと考えました。
そこでSTM32F746G-Discoveryを使って何が起こってるか解析してみる事にしました。
USB-MSCのSCSIコマンドを解釈するサブルーチンとSDMMCのRead/WriteにPrintfの
トラップを仕掛けどのSCSIコマンドが発行されているか、またSDカードのどの
アドレスに読み書きを行っているのかを調べます。ファームウェアを柔軟に弄る
事が出来るという市販のUSBカードリーダーでは絶対に出来ない利点がSTM32F7には
あるのです!!
STM32F746G-DiscoveryのSTLinkV2の仮想COMを開いて待機しておいた上で
Dashboardの"GO"ボタンを押すと全てが分かってしまった・・・
諸般の事情で細かい解説は省きますがある一定の順序でSDカードの特定の
ブロックアドレス群に読み書きを行う事によりCMD56による取得方法と同じ
SMART情報を得られることがわかりました・・・!
これなら特別なハードウエアを用意しなくても市販のUSBカードリーダーさえあれば
気軽にSMARTとかSDカードの寿命を確認できますね〜!
それを組み込んだこいつも更なる進化を遂げてさらに最強に強まることが出来たので
ねむいさんはこれからの近畿自然歩道の攻略に向けて燃えに燃えています!
20170308追:
このような工業用SDカードの寿命診断についてですが実際は頻繁なカードの
取り外しが困難な場所や機器に特に威力を発揮します。
性悪説的に言うとケーシングや樹脂化でSDカードを完全に隠ぺいし第三者から
"SDカードを使用している機器"と分からなくして"何らかのメモリデバイス"と
して見せることにより商売上でSDAのライセンス条件を完全に逃れている場合の
リモートメンテナンスの際にも役立ちます。
正攻法でもCMD56なりUSB-MSC経由でSMART取ればいいので品質管理の面から見て
仕事が進めやすくなるのでメリットだらけですね〜♥
20170308追:
でぢかめ向けには大容量品があるUtility+がよさそうですね。これも上記と同じくCMD56&
Windowsツール経由でSMART取れるので特にカードの寿命や動作環境を気にする
プロの人必須のアイテムだと思います。ねむいさんもお金に余裕が出来たら購入して
TG-4と併せて使った感想をレポートしてみたいと思います。
ちなみに民生品のSMART非対応のカードだと失敗しちゃいます。
TDKやApercer配布のSMART取得ツールだと非対応のカード使うと先頭1kb分のデータが
問答無用で破壊されてしまうのですがDelkinDashboardではそういうことはまったく
ありませんが興味本位で非対応のカードで試すのはやめておきましょう!!
とまぁこんなかんじで各メーカごとにSMARTの仕様がバラバラなのでSDAが早く統一
規格作るべきだと思いますよぅ。
さらにおまけですが・・・
解析途中でDELKINカードのパーティションの全容量と実容量が一致してなくてディスク
ユティリティーソフトが異常を検出してておかしいなと思っていたのですが・・・
STM32F7CubeのSDカードドライバ(v1.5.xまで)はSDHCにしか対応してなかったため
SDv1の初期化コマンドすらなかったのは周知のとおりですがUSB-MSCのサンプルも
その仕様を引きずっていたため正しい全容量を返していないのが分かりました。
20170329追:
SDv1どころかSDv2でも正しい全容量を返していないことが分かりました。
別な部分で一番最後の論理ブロックアドレスを示すよう-1している個所があり、
上記の部分で-1してしまうと余分に-1したことになるので実容量より1ブロック
分小さい値が返されてしまいます(ほとんどの場合は512Byte小さい値)。
具体的にはusbd_msc_scsi.cのSCSI_ReadFormatCapacity()で総ブロック数から1を
引いた数をホストPCに送っています。
一方SDHC/SDXC等の大容量のSDカードなら多少の容量の相違は無視できる
ほど小さいので問題はありませんでしたが、Delkinカードは1GBしかないため
ParagonHardDiskManagerではそれを見逃さず無効なパーティションと
見なしたようです。ちなみに値が微妙にずれた状態でもWin7からは普通に
読み書きできてました。
SDナビさん曰く、この値が容量偽装とかでズレが大幅になるとWindowsも
おかしいと検知してフォーマットを促すダイアログが出るようです。
20170329追:
そういえば今年になってv1.6.0が出てSDカード周りが刷新されたのですが待望のMMCが
追加されたのはイイのですがなんかいたるところが欠陥だらけで超やばいことになって
いたのですが話が長くなるので次回に続きます・・・
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